肛宴のお龍

44.娘道成寺

東組の座敷の中ほど、明るい照明の真下に私は後手に縛られた一糸まとわぬ裸身を晒しています。しかも両足の爪先を1メートル程の間隔を開けて置かれた三段積みのレンガの上に載せ、その間に置かれた花瓶台を跨ぐというこれ以上は無いという恥ずかしい格好を、私の目の前に陣取った大勢のヤクザ達に 晒しているのです。そして、花瓶台の上に置かれた三つの細首徳利のうち真ん中の徳利には黒塗りの箸が立てられていて、その先がちょうど私のクリトリスに触れています。今から私はこの箸を伝わせて排尿をしなければならないのです。

私の準備が整ったことを確認すると相模屋さんは二人の芸者さんの方を振り向きました。

「お二人さん、待たせたね。ご覧の通り今度はこいつが女だてらに立ちションベンをするんでね。また何か景気付けにやってもらえるかね?」

二人の芸者はさすがに少し困った顔をしましたが、若い方が年上と思える方に耳打ちをしました。

「でも二人じゃね」と年上と見える芸者が言ったので、「何ですかな」と相模屋さんが尋ねます。

「いえね、娘道成寺という賑やかなのがあるんですが、普通は笛と小鼓のお囃子が入るんです。小鼓は持ってきてるんですが笛がね」

「娘道成寺ですか、いいですな。笛は無くてもいいんじゃないですか?どうですか親分さん」

「いいんじゃないかい」

親分が答えると二人の芸者はニッコリと会釈をし、年上の方が早速調弦を始め、若い方が袋の中から小鼓を取り出しました。

「お龍さん、今度は娘道成寺だ。曲に合わせて上手くおしっこするんですよ」

相模屋さんがそう言って芸者衆の方を向いて頷くと、二人の芸者も黙って頷き、年上の方が歌い出しました。

「花の外には松ばかり……」

座敷に芸者さんの美しい声が響きます。最初は伴奏は無しで歌だけなのです。

大勢のヤクザ達は一言もしゃべらずにじっと私の局部を注視しているようです。そしてその真ん中には左右を若い衆に挟まれたお嬢様が泣き腫らした真っ赤な目を必死に見開いています。

「花の外には松ばかり……暮れ染めて鐘や響くらん」

若い芸者が小鼓でトントンと合わせると、年上の芸者さんが「ィヤアッ」という威勢の良い掛け声で答えます。

「鐘に恨みは数々ござる……」

静かに歌が消えると、小鼓が、トトントトン・トトントトンと元気よく鳴り始めます。

そして次に三味線が、テケテケテン・テケテケテンと合わせます。

「ほら、お龍さん、始めないか」

相模屋さんに言われ、私は慌てて身体の力を抜こうとします。

「あぁぁ」

しかい 尿意は既に限界を超えているのに、身体の力を抜こうとしても、最後のところがどうしても抜けません。

トトントトン・トトントトン、テケテケテン・テケテケテン。

「あぁぁ」

夢のなかでどうしても排尿が出来ないと同じで、無意識に尿道括約筋をきつく締め付けてしまっているのでしょう。でも下手に緩めると今にも爆ぜそうな膀胱から尿が勢い良く流れ 出してしまい、細い箸を伝わせることなど到底出来ないでしょう。

ほんの少しだけ緩めないと。

私は目を瞑り、腰を支えてくれている若い衆の両手に少し身体を預けるようにして、尿道に気持ちを集中します。

「初夜の鐘を撞く時は……」

お願い、ほんの少しだけ緩んで。

「諸行無常と響くなり……」

長唄に導かれるように 固く口を閉ざしていた膀胱の出口がほんの少し緩みます。そして限界を超えていた尿意が突然得も言われぬ快感へと変身すると、芸者さんの声が遠ざかっていきます。

「ほぉぉ」

あぁ、緩めすぎ!

「ククククク」

歯を食いしばって掛け下りそうな奔流を少し抑えると、骨盤の奥で燃え上がった快感の炎がまるで導火線を伝わるように、尿道を通って少しずつクリトリス に向かって燃え広がってきます。

「いぃぃぃぃぃ」

しかしそれがクリトリスに達した途端、私は余りの快感に耐え切れずに 「いいぃぃやぁぁぁあああ」と叫び、直ぐに「クククク」と呻きながら流れを完全に止めてしまいました。

「おぉ、二滴、いや三滴出たぞ!」

「それだけかい、お龍さん?」

若い衆が次々に叫びます。

トトントトン・トトントトン、テケテケテン・テケテケテン。

行き場を失った快感の炎は尿道の端から端までを焼き尽くすと、逆戻りして膀胱の中に燃え広がります。

「はぅぅぅぅぅ」

あぁ、もう一度緩めなくては。

「後夜の鐘を撞く時は……」

でも、緩めれば再び尿道を、そしてクリトリスを快感の炎で焼かれるのです。さっきは耐えられなかった快感に果たして耐えられるでしょうか? しかしこのまま我慢し続けることは絶対に不可能です。

「是生滅法と響くなり……」

私は覚悟を決めて尿道括約筋を緩めることにします。

「はぅぅぅ」

喘ぎながら少しずつ緩めていくと、快感の炎がチョロチョロと尿道に伝わってきます。

「いぃぃぃぃぃ」

炎が少しずつクリトリスに近づいて来ると、芸者さんの声が再び遠ざかります。

今度は、如何に凄まじい快感が起きようとも、我慢しなくては。

あぁ、炎が近づいてきます。もうすぐ、あぁ、もうすぐクリトリスに達します。あぁ、きます、来ます、あぁ、来る、来る、来るわ、あぁ。

「いいぃぃやぁぁぁあああ」

快感の炎がクリトリスを突き抜けます。

しかし私は歯を食いしばり、尿道括約筋を微妙に緩めたままでこの壮絶な快感に耐えます。

「くぅぅぅぅぅぅ」

熱い流れはクリトリスから溢れ出すと、静かに黒い漆塗りの箸を伝わって落ちていきます。

「ぁぁぁあああ、ぁぁぁあああ」

快感の炎はとてもゆっくりと膀胱から尿道へと流れ出し、クリトリスに到達して目も眩むような快感を私に与えてから黒塗りの箸を伝わって消えて行くのです。

「ぁぁぁあああ、ぁぁぁあああ」

あぁ、早く、早く。

しかし少しでも尿道括約筋を緩めすぎて尿を零してしまえば、お嬢様を身代わりにしなければなりません。私はこの壮絶な快感を甘んじて受けながら、微妙に尿道括約筋を緩め続けなければならないのです。

遠くの方で小鼓と三味線が鳴っています。

トトントトン・トトントトン、テケテケテン・テケテケテン。


ヤクザ達に間近で見つめられながらお龍の排尿はチョロチョロといつまでも続いた。お龍にとっては 無限とも思える長い時間であろう。尿意の為に少し固くなったクリトリスを快感の炎で炙り続けられるお龍は歯を食いしばり、苦悶の呻きと喘ぎを時折漏らしながらも、必死に尿道括約筋を調整しているので気を遣ることすら 許されないのである。

そしてそんなお龍の呻きと喘ぎを引き立てるかのように、小鼓と三味線が威勢よく鳴り、芸者の声が座敷に響きわたっている。

「そろそろ一杯になりますよ、お龍さん」

相模屋が声を掛けた。

「あぁぁぁ」

「はい、止めて」

相模屋が合図をすると芸者衆は長唄を止め、お龍は顔を仰け反らせながら、「はぅっ」と呻いて排尿を止めた。それを見た相模屋はゆっくりと細首徳利を摘んで横に避けると、黒い塗箸を抜いて隣の細首徳利に挿 した。

「クククク、早くして下さい」

「慌てさせると手元が狂ってひっくり返しますよ。もしそうなってもお龍さんの責任ですからね」

相模屋が言うと、お龍は顔をゆっくりと振りながら、「あぁぁ、ゆ、ゆっくりしてください」と喘ぐように言った。

「分かりましたよ、ではゆっくりと慎重にやりますからね」

相模屋はニヤリと笑いながら周囲を見渡すと、塗箸を挿した空の細首徳利をお龍のクリトリスの前に向けて少しずつ動かした。

「あぅぅぅぅ」

お龍は歯を食いしばりながら必死に尿道括約筋を締め付けていた。それが未だ空の細首徳利であり、もし倒れたとしても何も溢れるものが入ってないと分かっていても、早くしてと言えば何を言い返されるか分からないからである

ようやく空の細首徳利がお龍の正面にまで移動し、黒い塗箸がクリトリスに触れた。

「あぅぅ」

「さあ、どうぞ、お龍さん」

「あ、有難うございます」

お龍はそう言うと、「はぅぅ、はぅぅ」と喘ぎ始めたが、一向に尿が流れだす様子は無い。

「おい、どうしたんだよ、お龍」

「もう空っぽかい?」

ヤクザ達が口々に揶揄するが、お龍は喘ぐばかりである。一気に排尿するのならともかく、一度必死に締め付けていた筋肉を微妙に緩めるのは至難の業のようである。

相模屋が合図をすると芸者衆が再び娘道成寺を奏で始めた。

トトントトン・トトントトン、テケテケテン・テケテケテン。

そしてお龍は、何度も何度も熱い喘ぎ声を漏らした挙句に、一際大きく「いいぃぃやぁぁぁあああ」と叫ぶと、再びチョロチョロと排尿を始めた。

「おぉぉ、またおっぱじめやがった」

ヤクザ達の嘲笑を受けてもお龍はただ 「ぁぁぁあああ、ぁぁぁあああ」と喘ぐばかりである。そしてしばらくのあいだ、熱い喘ぎ声を漏らしながら、お龍は永遠とも思える排尿の快楽に耐え続けたのである。

「そろそろ二本目も一杯ですよ」

「あぁぁぁぁ」

「はい、止めて」

相模屋が合図をするとお龍は再び「はぅっ」と呻いて排尿を止めた。娘道成寺も止まった。

相模屋は先ほどと同じようにゆっくりと細首徳利を摘んで横に避けると、黒い塗箸を抜いて三本目の細首徳利に挿 し、ニヤリとお龍の顔を見上げた。

「クククク」

お龍は呻くばかりで、早くしてとは言わない。

「どうですか、三本目も要りますか?ここで止めれば卵は二個だけで済みますが?」

「あぁ、さ、三本目もお願いします」

お龍は若い衆に腰を支えてもらいながら、震える声で答えた。

「そうですか、卵は三個飲み込みたいというわけですな。それなら……」と言うと、相模屋は 黒い塗箸を挿した三本目の細首徳利を1ミリ、また1ミリとゆっくりお龍の前へと動かした。

「ククククッ」

お龍は何も言わず、歯を食いしばって排尿を我慢していたが、ようやく塗箸がクリトリスに触れると、「あぁぁ」と安堵のため息を吐いた。

そして相模屋が、「「さあ、どうぞ」と言うと、「あ、有難うございます」と答えて直ぐに、「はぅぅ、はぅぅ」と喘ぎ始めたが、 やはり直ぐには排尿することは出来ないようである。

お龍の排尿よりも先に芸者衆の娘道成寺がまたしても始まり、小鼓と三味線が勢い良く鳴り始めた。

しかし何度が熱い喘ぎ声を漏らした後、まるで嫌々をするように顔を左右に振ると、「いいぃぃやぁぁぁあああ」と叫びながらお龍は三たびチョロチョロと排尿を始めた。

「またおっぱじめやがった!」

ヤクザ達が嘲笑するがお龍は何も言い返すことはできず、一滴も溢すまいと必死の思いで尿道括約筋を調整しながら、延々と続く排尿の快楽に耐えて 「ぁぁぁあああ、ぁぁぁあああ」と喘ぐのであった。

トトントトン・トトントトン、テケテケテン・テケテケテン。


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