肛宴のお龍

38.進むも地獄

「今度は何なんだい?」

お銀さんの険しい声がして、三味線の音が止みました。

「まあまあ、お銀さん」

相模屋さんが傍に寄ってきてなだめると、お銀さんも少し落ち着いた声で尋ねます。

「今度はまた一体、どうしたんですか?」

「これは私の想像ですが……」

相模屋さんがニヤニヤと笑いながら私の顔を覗きこみます。

「アァ、イヤァ」

私の身体の秘密を知り尽くしたような不気味な顔で覗きこまれて私は思わず顔を背けます。

「まあまあ、そんなに嫌がらなくても。私はお龍さんの味方ですよ。お銀さんが無茶をしないように、こうして説明しようとしてるわけなんですから」

相模屋さんはそう言うと私の顎を掴んで顔を自分の方へ向けさせます。

「あぁぁ、許して」

「許すも何も、ただ説明しようとしてるだけですよ、ヒッヒッヒッ」

そこまで言うと相模屋さんは手を離し、お銀さんの方を向きながら話し始めました。

「さっきは前立腺や精嚢 を卵に押さえつけられながら深く息を吸い込んだもんだからお龍さんは気を遣ってしまったわけです。一体そんな状態でどうやって息むのか、私も興味津々だったのですが、お龍さんは見事に気を遣りながら息むという技を身に着けてしまったわけです」

「確かに、二度ほどは気を遣りながらも息んでましたね。でもそれ以上のことが起こったと?」

相模屋さんが頷きました。

「前立腺や精嚢弄りをやった時にも、押さえるときと放すときの両方でお龍さんが感じたのを覚えてるでしょう?多分、あれと同じことが起こったんだと思いますよ」

「というと前立腺や精嚢を押さえつけていた卵が、息んだ時に離れたと」

「その通り。息むことによって後門に一番近い卵が動いたので、その奥の卵が順に動き、前立腺や精嚢を開放したことによるものでしょう。そして突然の快感に驚いてお龍さんが息を止めた時には、逆にアヌスを開きかけていた卵が急に戻ったので、奥の卵も急に元の位置に、つまり前立腺や精嚢を押さえつける位置に戻ったのでしょうな 、フッフッフッ」

そこまで言うと相模屋さんは私の方を向きました。

「どうです、お龍さん、そうでしょう?」

「そ、そんなこと、知りません」

私は赤らめた顔を背けました。

しかし私を無視するようにお銀さんが尋ねます。

「つまり息むのを止めた途端に、再び前立腺や精嚢が卵に押さえつけられたわけですか?」

「その通り。だからこの産卵はお龍さんにとっては非常に辛いものになりますな。まず息むために深く息を吸い込むだけでも気を遣ってしまう。そして息んで卵を産む際には卵が後門をこじ開ける快感で気を遣ってしまうのに、同時に前立腺と精嚢を解放されるわけですから。しかも 他人にされるのじゃなくて、自分の意思でその快感の中に身を投げないといけないわけですから。そしてその快感に負けて途中で息むのを止めると、再び前立腺と精嚢を押さえつけられるので、そこでまた気を遣ってしまう」

「進むも地獄退くも地獄ですね」

お銀さんが言うと、「いや、お龍の場合はどっちも天国だろうよ」と親分さんが言って、一同がドッと笑いました。

「さあ、お前さんが気を遣った理由が分かったから安心だろうよ。これで心置きなく気を遣れるってもんだ。前も後ろも天国らしいから、精々何度も気を遣るがいい。じゃあ、お姉さん達、もう一度最初から越後獅子をお願いしますよ」

お銀さんがそう言うと、すぐに、トテテテチン、トテテテチンと前奏が流れ始めました。

「あっ、ま、待って下さい」

「そんなに慌てなくても、ゆっくり前奏を聞いてから息めばいいんだよ」

お銀さんはそんなことを言いますが、長唄が始まってからでは私に与えられる時間は1分だけ。前奏の間に少しでも息んで卵を動かしておかないと。

私は再び恐る恐る息を吸い始めました。

「スゥゥウウ……ァァアアアア」

先ほどと同じように直ぐに前立腺や精嚢がすすり泣きますが、もっと深く吸わなければなりません。

「あぁ、サトシさん、きつく抱いて!」

恥ずかしいけれど、もう一度サトシさんの助けを求めるしかありません。

「もちろんだよ、お龍さん」

サトシさんの腕がギュッと私を抱きしめると、それに合わせるように、 「打つや太鼓の音(ね)もすみわたり……」と長唄が始まってしまい、お銀さんが「イチ、ニイ、サン……」と数え始めます。

ああ、早く息まないと。

私はサトシさんに抱かれながらもう一度深く息を吸いますが、息を吸うのに連れて前立腺や精嚢が激しく泣きだします。しかし歯を食い縛り、顔を左右に振りながら吸い続けると、快感の限界に達した二つの官能器官が泣き叫びながら痙攣を始め、後手に縛られた私の裸身もガクガクと震えます。

今よ、ここで息むのよ!

「クククゥゥゥゥ……」と絶頂の呻きを漏らした後、 「……ゥゥムムムゥゥゥ」と全身の力をアヌスに集中すると直腸がはっきりと卵を捉え、同時にクリトリスから熱いものが溢れます。

「アアァ、アアァ」

裸身がブルブルッと震え、三味線の音がすぅっと遠のきます。

ああ、もう一度、もう一度息むのよ!

再び大きく息を吸い始めると、二つの官能器官は瞬く間に絶頂に達し、泣き叫びながら痙攣を始めますが、私は歯を食いしばり裸身をガクガクと震わせながらも息むことが出来たのです。

「……ゥゥムムムゥゥゥ」

クリトリスからは熱いものが溢れ、太腿からお尻にかけてがブルブル震えますが、直腸はしっかりと卵を捉えます。そして押し出される卵がアヌスを内側から開くに連れてアヌス快感が沸き起こってき て、既に絶頂に達している私をさらなる快楽の頂へと追い立てるのです。

「……ゥゥゥァァァアアアア」

でもそれで終わりではありません。一番下の卵がアヌスの狭いトンネルを降りて行くに連れて、直腸奥の3個の卵も順に動き出し、いままで卵に押さえつけられていた二つの官能器官が フッと解き放たれると、それまでとは異種の快感が骨盤奥で火花を散らすのです。

「ククゥゥゥ……ゥゥゥァァァオオオオ」

こ、ここで止めては駄目!も、もう一度息まないと。

再び大きく息を吸うと、一旦解き放たれた二つの官能器官が再び卵に押さえ つけられ、またもや泣き叫びながら痙攣します。クリトリスからは私の意思を無視して熱いものが次々と溢れ、私は歯を食いしばって息むのです。

「クククゥゥ……ゥゥムムムゥゥゥ」

あぁ、アヌスが開きます。そしてアヌス快感が急激に高まるに連れて、前立腺と精嚢が開放されて歓喜の声を上げます。

でもこのまま息み続けなくては。たとえあまリの快感で気が狂っても、息み続けて産まなくては。

三味線の音が遠くで聞こえ、耳元ではお銀さんが「25,26,27」と囁きます。

あぁ、駄目です。アヌス快感だけなら耐えられても、さらに直腸奥の二箇所の官能器官が泣き叫ぶのです。

「イヤァァァアアァァゥゥ、フムムムムゥゥゥゥゥ、フムムムムゥゥゥゥゥ……クククゥゥゥゥ」

クリトリスからは次々に熱いものが溢れてサトシさんの下腹部を濡らし、太腿とお尻の震えが身体全体に広がって後手に括られた裸身がブルブル震えます。それでも私は何とか必死に息み続けようと 、サトシさんの肩口に唇を押し付け歯を食いしばりました。でも同時に三箇所から噴き上がる快感に は耐えることはできず、息むのを止めた途端、身体中に充満していた快感が大きな咆哮となって私の口から噴きだしたのです。

「イヤァァァォォォオオオオ……」

さらに、息むのを止めた為にほぼ限界近くまで開いていたアヌスが一番下の卵を押し戻し、その奥の卵が順に押し戻されると二つの官能器官が衝撃を受けて火を吹きました。

「アゥゥゥゥウウウウウ……イヤァァァアアアアア!」

後手に括られた両手の爪が手のひらに食い込むほど強く手を握りしめ、足首を括られた両脚でサトシさんの身体を締め付けながら私はさらなる絶頂の高みに達しました。 裸身がブルブルと震え、骨盤の奥がドクンドクンと収縮を繰り返し、サトシさんの下腹部に押し付けられたクリトリスから熱いものが迸ります。

「40,41,42」

越後獅子は微かにしか聞こえず、耳元で囁いているはずのお銀さんの声ですら遠くの方に聞こえます。

「アァ、待って、待って」

「45,46,47」

も、もう一度息まなければ。そして今度こそ何があっても最後まで息み続けなければ。

大きく息を吸うと直ぐに二つの官能器官が痙攣を始めますが、私は歯を食いしばって息みます。

「フムムムムゥゥゥゥゥ、フムムムムゥゥゥゥゥ……ゥゥゥァァァアアアア」

再び卵が動き出してアヌスが開きます。そして前立腺と精嚢が直に反応して泣き出します。アヌスをこじ開けられながら前立腺と精嚢を解放されるという三箇所責めを、自らの意思で、自ら息むことによって、自らの肉体に課しているのです。

「55,56,57」

「イヤァァァアアァァゥゥ、フムムムムゥゥゥゥゥ、フムムムムゥゥゥゥゥ……クククゥゥゥゥ」

「時間切れだよ」

お銀さんの声が微かに聞こえますが、ここで止める訳にはいきません。

そして同時に三つの官能器官が一斉に火を吹きます。

「イヤァァァアアゥゥ、フムムムムゥゥゥゥゥ……クククゥゥゥゥ」

耐えなければ、絶対に耐えなければ。誰か、助けて、誰か、あぁ、サトシさん。

「も、もっときつく抱いて!」

藁にも縋る思いで喘ぐように言うと、逞しい力で裸身がギュッと抱きしめられます。

あぁ、サトシさん、あぁ、私は、イク、イキます。

渾身の力を振り絞って私は息みました。

「イヤァァァアアゥゥ、フムムムムゥゥゥゥゥ……イヤァァァギィィヤァァアアアアーーーーー」

まるで怪鳥のような叫び声を上げながら私は今まで経験したことの無い絶頂に達し、一瞬おいてコトンと卵の落ちる音がしました。

あぁ、産んだのね、とうとう産んだのね。

しかし次の瞬間、私は直腸奥にドスンというような衝撃を感じ、さらなる快楽の頂へと突き上げられたのです。

「クククゥゥゥゥ……」という呻きは途中から声にはならず、サトシさんにきつく抱かれているはずの裸身がブルブルと震えながらふわりと舞い上がります。

あぁ、サトシさん、しっかりと抱いて!

叫ぼうとしても口がぱくぱくとするだけで一言も声は出ず、サトシさんが不思議そうに私を見上げています。そしてシーンと静まり返る中で芸者さん達の甲高い声だけが遠くに聞こえます。

「一人旅寝の草枕……」


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