肛宴のお龍

28.産卵 

「お前さんが出来ないのなら、お京にさせるしかないな」

親分さんが座敷の隅の格子戸の方に視線を向けて言うと、「お龍さん、私にも手伝わせて!」とお嬢様が健気にも私を助けようと声を上げます。

しかし、こんな恥知らずなことを嫁入り前のお嬢様にさせるわけにはいきません。

「ここは私に任せて下さい、お嬢様!」と悲痛な声を放ってから、私は親分さんに向かって頷きました。

「じゃあ、そこへしゃがむんだな、お龍」

私は親分さんを見つめながら、会席膳の上に裸身を降ろしていきます。きつく閉じた両膝に、少し体を乗り出した親分さんの息がかかって身震いが起きます。

「もっとしゃがむんだよ!」

親分さんの視線が無毛の局部に、そして裸身を落としていくにつれて、揺れる乳房に突き刺さります。そして、会席膳の上の食器を倒さないようにと首を捻って下を見ながらお尻を降ろしきった私が、視線を前に向けると親分さんがニヤニヤ笑いながら見つめています。

「あぁ、嫌!」

私は思わず下を向いてしまいます。

「もう少し前だよ。その位置じゃ小鉢には産めないよ」

すでに親分さんのすぐ目の前に恥ずかしい格好を晒しているというのに、さらに近づかなければなりません。背中を押されて少し前へ寄ると、乳房にも親分さんの息がかかります。

「もっと前だよ」

再びお銀さんに背中を押されてしゃがんだままでさらに少し前へ進むと、きつく揃えた両膝が親分さんの帯に触れてしまいました。

「ああ、親分さん、済みません」

もうこれ以上は近づけません。親分さんが少しでも顔を前へ動かせば、私の乳房に口をつけることもできるでしょうし、少し視線を上にやれば恥ずかしさで顔を紅潮させた私がすぐ眼の前で喘いでいるのです。

「ほお、これは凄い格好だな、お龍」

薄笑いを浮かべた親分さんは私を見つめながらそう言いましたが、ふと視線を逸らせるとニヤリとしました。

何なの?

不吉な予感がした私は親分さんの視線を追って顔を捻りました。

「ヒィイーーーー!」

いつのまにか何人ものやくざが私を取り囲み、紅く染まった裸身に今にも触れんばかりに手を伸ばしているではありませんか。

「ヒィ、ヒィイーーーー!」

親分さんの目の前に全裸でしゃがんで卵のウンチをするだけでも気が遠くなりそうなのに、紅潮した裸身の周りをぐるりと取り囲まれて、排便に伴って起こるであろう恥ずかしい生理現象の全てを間近でじっくりと観察されなければならないのです。

「あぁ、嫌です、あぁ、いや、いやぁ」

私はあらゆる視線から目を逸らそうと下を向いて首を左右に何度も振ります。

「お龍さん、顔を上げないとお嬢様にしてもらうことになりますよ」

いつの間にか前に回ってきたお銀さんが私の顔を下から覗き込みながら厳しい口調で言います。

「あぁ、それだけは」

喘ぎながら顔を上げると再び親分さんと視線が合ってしまいます。

「あぁ、嫌」

「そのまま、視線を逸らせずに、早くその小鉢の中に産むんだよ」

お銀さんの口調はさらに険しくなりますが、目の前で親分さんに見つめられながらどうして卵のウンチをすることができましょう。

「あぁ、嫌、嫌、出来ません」

「そんなに嫌がるのなら時間を測ってやるよ。今から一分以内に産まないと、代わりにお嬢様にしてもらうからね」

「あぁ、それだけは・・・」

「何言ってるんだい、つばめ返しのお龍の名が泣くよ。相模屋さん、また時間を測ってもらえますか」

「もちろんですよ」

そう言うと相模屋さんは懐中時計を取り出し、「イチ、ニイ、サン、シ」と数え始めたのです。

「ま、待って、待って下さい」

「ゴ、ロク、シチ、ハチ……」

相模屋さんは構わずに数え続けます。

ああ、駄目です、もうここで恥ずかしい姿を晒すしかありません。

私は観念して下腹部に力を入れようと息みました。

「フゥゥゥ」

小さく息んだつもりなのに私の声は座敷中に響き、恥ずかしさで裸身が一層紅く染まります。

「9、10、11……」

私の裸身を取り囲んだやくざ達が相模屋さんに合わせて口を揃えて数え始めます。

しかし直腸内にあるはずの卵が動く気配は全くありません。 頭では息んでいるつもりでも、こんなに大勢に見つめられていては、私の肉体が排便という生理現象を拒否しているのです。

「あぁ、待って」

「12、13……」

「ぁああ、フゥゥゥゥウウウ」

「さっさとしないから、卵が奥の方へ入っちゃったんじゃないのかい。どうする、お龍さん?」

「ぁああ、フゥ、フゥ、フゥゥゥゥゥ」

「20、21、22……」

「これじゃ間に合いそうに無いぜ、お龍。おい、お京をこっちへ連れてこい」

親分さんが薄笑いを浮かべながら言います。

「あぁ、待って、絶対に産みますから、お嬢様は連れて来ないで!」

例え恥ずかしい音を立ててしまおうが、ウンチが出てしまおうが、これ以上お嬢様に辛い思いをさせる訳にいかないのです。

私は思いっきり息を吸い込むと目を固く瞑り、歯を食い縛りながら全身の筋肉を振り絞って息みました。

「スゥゥウウウウ……フムムムムムゥゥゥゥゥウウウウウ」

「31、32……」

恥ずかしさで顔も全身も真っ赤になり熱く火照ってきますが、直腸の奥のほうで何かが少し動いたのです。

「アァァ」と思わず喘ぎ声が出てしまいましたが、私はもう一度息を吸い込むと思いっきり息みました。

「スゥゥ……フムムムムムゥゥゥゥゥウウウウウ」

あぁ、確かに、今度ははっきりと卵が動きました。

「あぁ、動きました」

私は喘ぐように言って、さらに思いっきり息みます。

「フムムムムムゥゥゥゥゥウウウ」

「36、37……」

あぁ、間違いなくアヌスにまで卵が降りて来ています。このまま息み続ければ。

「フムムゥゥゥゥゥウウウ」

あぁ、アヌスが、アヌスが開いてきます。

でも、この感覚はウンチが出そうな時と全く同じです。本当にこれは卵なの?ウンチじゃないの?

そう思った途端、ウンチが、いえ卵が少し引っ込んでしまいました。

ああ、駄目駄目、さっきあれだけ浣腸されたのですからウンチが出るはずはありません。これはきっと卵なのです。だから、このまま、もっと息み続ければ。

「フムムゥゥゥゥゥウウウ」

「40、41……」

もう、はっきりとアヌスが開いたのを感じます。

「卵が見えたぞ!」

若い衆の一人が後ろから叫びます。

ああ、卵なのね。ウンチじゃないのね!

「あぁぁ、う、産みます、産みます、フムムゥゥゥゥゥウウウ」

「47、48……」

ところが、それ以上はいくら息んでもアヌスは開かず、卵も動きません。

「あぁぁ、大きいです、大き過ぎます」

「じゃあ、お京と交代だな」

「それは駄目。いま、産みますから」

私はもう一度大きく息を吸ってから、死に物狂いで息みました。

「スゥゥウウウウ……フムムムムムゥゥゥゥゥウウウウウ」

あぁ、卵が動いてアヌスを開きます。これできっと卵を産めます。

しかしその時、壮絶な快感がアヌスから沸き起こってきたのです。

「アァァァァ」

内側からアヌスをこじ開けられる快感です。二本三本の指を挿入されて拡げられる快感よりも、卵を無理やり捩じ込まれた時の快感よりも遥かに凄まじい快感です。

「アァァ、アァァァァ」

骨盤の奥から熱いものがクリトリスに流れたのがはっきりと分かります。ピタリと閉じた太腿を緩めればクリトリスから愛液の糸が滴るでしょう。

しかも、この快感は息むのを止めれば収まるはず。自分で止めようと思えばいつでも止められる快感なのです。しかし、今の私にはこの壮絶な快感を止める自由は与えられていません。この卵を産むまで息み続けなければならないのです。

「フムムゥゥゥゥゥウウ……イヤァァァァアアアア」

このまま息み続ければ、卵を産みながら気を遣ってしまうかもしれません。

「あと5秒ですよお龍さん」

相模屋さんの声が遠くの方に聞こえます。

「あぁぁ、待って、産みます、産みます」

もう、気を遣ってもいいんです。親分さんの目の前で卵を産みながら気を遣っても。私は恥ずかしさをかなぐり捨てて、思いっきり息みました。

「フムムゥゥゥゥゥウウ……」

「ヨン、サン、ニイ、イチ……」

既に信じられない位にまで開いたアヌスを、さらにゆっくりとこじ開けながら大きな卵が降りてきて、快感のあまり私は親分さんの肩に顔を埋めて叫びました。

「イヤァァァァアアアアーーーーーー」

親分さんの両手がギュッと私を抱きしめ、下の方でコトンという音がしました。

卵を産みながら私は気を遣ったのです。

気を取り直して親分さんの肩から顔を上げますが、裸身がまだ時折ブルッブルッと震え 、その度にクリトリスから熱いものがドクンドクンと溢れて、ピタリと閉じた太腿を濡らします。

親分さんの手がゆっくりと私の身体から離れました。

「何とか間に合ったな、お龍」

「しかも、気を遣るというおまけ付きでしたな、フッフッフッ」

相模屋さんが笑うと、「狙い通りでしたね」とお銀さんが答えます。

「お前さん達二人には叶わないな」と親分さんも笑います。

「しかも綺麗な卵を産みましたよ」とお銀さんが小鉢の中の卵を取り上げて親分さんに渡すと、「ほお、やっぱり産みたては暖かいな、ワッハッハ」と親分さんがもう一度大きく笑いました。

「次は相模屋さんの番ですね。さあ、いつまでもしゃがんでないでさっさと立つんだよ」

お銀さんが後手を縛った縄をグイと引っ張ると、私は愛液で濡らした太腿を必死に閉じたまま、親分さんの前に気を遣ったばかりの全身を晒したのです。


南組の座敷で支度の出来た南平五郎が西将吉と作戦を練っていると、竜也が若い衆五人と共に息を切らせて入ってきた。

「五人だけか?」

将吉が怪訝そうな顔で尋ねると、「光子奥様を一人にするわけにはいかないので、一人は残してきました」と竜也が答えた。

「そうか、仕方無いな。ということはお前を入れて六人か」

将吉が済まなさそうに平五郎の方を見た。

「うちは人数だけはいるから心配するな。おいっ、皆、入ってこい!」

平五郎が奥に向かって叫ぶと、南組のヤクザ達がゾロゾロと座敷に入ってきた。

「俺を含めて21名だ。こいつがお前もよく知ってると思うが、若頭の平吉郎だ」

「済まんな平五郎」

将吉はそう言うと、竜也の方を向いた。

「それでだが竜也。平五郎とも相談したんだが、 東組も二十人程はいる筈だ。如何に俺達の方が多いと言っても混成軍だ。しかも敵方の屋敷で戦うとなると、ほぼ五分五分と見ていい。従って、まともに行ったんでは、下手をすれば逆に殺られる可能性もある。勝ったとしても怪我人も沢山でるだろう」

「それで?」

「まず偵察隊を送る。お前と平吉郎だ」

「えっ」

「えっ」

竜也と平吉郎が同時に声を上げた。

「まあ、驚くのも無理はないが、お前たち二人が現場の指揮官だ。お前たち二人が、実際にその目で見て、お前たち二人の部下の力量を考えて作戦を決めるんだ」

竜也と平吉郎が顔を見合わせた。

「俺も驚いたが、将吉らしい名案だと思う。どうだ、平吉郎」

「へい、俺はそれで」

「竜也は?」

「俺もそれで結構です」

「じゃあ決まりだ。残りの者は平五郎と一緒に東の屋敷の北側にある寺で待機だ。そこで二人の作戦を待て。もし二人の意見が食い違ったら、その時は平五郎に任せる。頼んだぞ、平五郎」

「任せてくれ、将吉。お前さんはここでのんびりと待っててくれ」

「済まんな、平五郎」

「では俺達は先に」

「おう」

そう言うと、竜也と平吉郎は立ち上がって座敷を出て行き、残りの者たちは将吉と平五郎の周りに集まった。


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