肛宴のお龍

22.強制射精

東組の座敷ではお龍の陰核吊りの真っ最中である。夕食の時間も過ぎたが、誰も食事処ではなく、女中が簡単に作った肴で酒を飲みながら、お龍が絶頂に達しそうになると、今度こそは射精するのではないかと固唾を飲んで見守っているのである。

そんな中で お銀の次には親分が、そして元若頭の鉄矢が大小様々な筆を手にしてお龍の陰核を撫でたが、先走り汁こそ垂らさせたものの、いざ射精しそうになると「相模屋さん、お願い!」とお龍は切ない声で助けを呼び、そして相模屋が後門に指を挿入し、前立腺に触れるやいなや大きな咆哮と共に気を遣ったのである。

「お銀、このままでいいのかい。お龍のやつ、すっかり前立腺で気を遣るコツを掴みやがったようだが」

「いいんですよ、それがまあこっちの狙いでもあるわけで、ねえ相模屋さん」

「その通りです、親分さん。実は今も前立腺には触れるか触れないかの、ほんの微妙な力加減をしたのですが、見事に気を遣りました。少しずつ前立腺には触らないようにして、後門だけで気を遣るコツを掴ませようと思いましてね」

「そうすると、お次がとっても楽しいことに」

お銀はニヤリと笑いながら言った。

「おお、そうか、そういうことか」と親分も頬を緩ませた。

「しかし、最後にはちゃんと射精させて盃で受けるんだぞ。お京がそれをどんな風に飲むか。お龍がそれをどんな顔で見るか。これはちょっと見ものだからな」

「それは任せて下さい。というか、トリは相模屋さんにお願いするつもりですが」

「それは光栄ですな、お銀さん。安心して見てて下さい。親分さん、いざとなれば後門弄りを止めてもいいんですから。そうなればイチコロですよ」


それから小一時間、お龍は陰核を徹底的に責められた。普段は体内に隠れている、身体の中で一番敏感な器官にテグスを括りつけられ、引き摺り出されるだけでも気が遠くなりそうなお龍であったが、さらにその敏感な器官を筆で弄られるのである。しかも最初の二人、つまりお銀と親分は刺激が強すぎるのを気遣って陰核の胴部だけを弄っていたが、鉄矢がそんな気遣いは無用と、最も敏感な陰核亀頭に筆を走らせると、後に続く若い衆達も寄ってたかって陰核亀頭を責め立てたのである。

陰核胴部だけにしろ陰核亀頭にしろ、そんなところを筆で弄られれば当然の事ながら壮絶な快感が湧き起こるが、身体をくねらすことはお龍には許されない。少しでも腰を動かせば 陰核に結び付けられたテグスが滑車を介して四つの錘を大きく揺らし、次の瞬間にはその反動で逆に陰核が引き千切れそうになることは、既に何度も経験済みなのである。お龍は壮絶な快感を身体を動かさずにじっとして耐えなければならないのである。

そしてそんなお龍をさらにじわじわと追い詰めるのが、陰核に塗り込められる怪しげな薬である。丸盆に筆と共に載せられた薬瓶を見た瞬間、それが媚薬のようなものであろうことはお龍にも想像が付いたが、そんなものを、まして陰核になど塗りつけられたことのないお龍には、その効果は過酷なものであった。 お銀の指示で陰核を弄る前には筆は毎回その怪しげな薬瓶に浸されるのだが、最初のうちこそ少しひんやりとするだけであった効果は、次第にむず痒さを伴う温もりを持ち始め、しばらくすると陰核全体が熱く火照り、筆が触れなくても腰をくねらせたくなるほどの快感を身体中に送り続けるのであった。

陰核弄りとはかくも壮絶な責めであった。

しかしお龍に科せられた責めはそれだけではなかった。普通の女であれば、快感に耐え切れずに何度も気を遣ってしまうことになるのだが、ふたなりのお龍は、湧き上がる快感の結果として当然起こる射精を禁じられたのである。必死に射精を耐えながら、後門を弄って欲しいと告げ、そして後門を弄られて気を遣らなければならないのである。

「さ、相模屋さん、こ、こうもんを弄って!」

再びお龍の悲痛な叫びが座敷中に響いた。目を血走らせた若い衆が一番太い筆で執拗にお龍の陰核亀頭に媚薬を塗り込めているのである。

「また後門のおねだりですか、お龍さん」

「は、はい、あぁ、は、早く、こうもんを!」

腰をブルブル震わせながらお龍が叫んだ。テグスにぶら下がった4つの錘も細かく震えている。

「分かりましたよ、それでは、ほら」

そう言って相模屋がお龍の後門に指を挿入すると、お龍は 「クククッ」と苦悶の呻きを発した後、「オオオオオォォォォォォ」と咆哮を上げながら気を遣った。

「ほんの少し後門に指を入れただけでこれですからね」と相模屋がニヤリと笑った。そして相模屋が少し指を動かすと、再びお龍は大きな咆哮を上げながら身体をガクガクと震わせたのである。

夜会巻きに結った髪はとっくに乱れて濡れた髪が何本も顔にまとわりつき、何度も叫んだ証しのように口の端からは涎が垂れ、幾度も泣き腫らした所為で目の周りの化粧は見るも無残であるが、それらが一層お龍の美貌をただならぬものにしているようで、陰核弄りで気を遣るのはこれで十数度目であるというのに、誰一人として視線を逸らせた者はいなかった。

「あとは鉄二さんと相模屋さんだけですね」とお銀が言った。

「じゃあ、鉄二、お前が次だ」と親分が、ずっとお龍の乳房を愛撫している鉄二を見て言った。

「俺はいいっす」

鉄二が少し不機嫌そうに言った。

「いいっすとはどういうことだ」

親分の顔が険しくなった。

「こういうのはあまり好きじゃないんだよ。女を寄ってたかっていたぶるっていうのが」

「何言ってやがるんだ、お龍は東組の仇だぞ。鉄矢だって目を潰されたし、さっきも二人殺られたとこだ」

「それは分かってるけど、こういうやり方は好きじゃないって言ってんだよ」

そう言うと鉄二はプイと横を向いて座敷から出ていった。

「どうしたんだ、あいつ」と親分が言ったが、誰も返事はしなかった。

気まずい沈黙が少し続いたが、相模屋が口を開いた。

「鉄二さんは多分一対一で決着を着けたかったんでしょうな」

「それは鉄二の腕では無理だな」と親分が苦々しい顔で言った。

「それを鉄二さんも分かってるから、苛立つんでしょうな。私にはよく分かりますよ、鉄二さんの気持ちは」

「俺にも分かるが、それじゃ若頭は務まらないんだ。未だまだだな、あいつは」

そう言うと親分はニヤリと笑ったので、ホっとしたお銀が皆を元気づけるような大きな声で言った。

「じゃあ気分の乗らない鉄二さんは置いておいて、それじゃ相模屋さん、止めを刺して下さいな」

「そうだ、そうだ」と若い衆達も歓声を上げた。

「ではお言葉に甘えて」と相模屋が細い筆を取り上げた。

「胸の方はお銀さんですかな」

「任せて下さい。女のツボは女が良く知ってますから」

お銀はそう言うとお龍の頭の方へ回り、早速左右の乳房に両手を伸ばすと、親指と人差指で固くしこった乳首を転がすように揉んだ。

「アァァァ」とお龍が喘ぎ、思わず腰をくねらせたのでグラリと錘が揺れ、次の瞬間お龍が「ヒィィィィ」と悲鳴を上げた。

「まだまだ修行が足りませんな、お龍さん」

ニヤリと笑った相模屋が細い筆を薬瓶に付けた。

「も、もうお薬は十分です」

お龍が喘ぎながら言った。

「勘違いしてはいけませんぞ、お龍さん。これは媚薬とかでは無いんです。お龍さんの大切なところを傷付ないようにする薬ですよ。フッフッフ」

「でも、アァァァ」

でも、クリトリスがこんなに疼いてと言いたかったが、そんなことで止めてくれる相模屋でないことは百も承知のお龍は、あきらめて喘ぐしかなかった。

「さあ私で最後ですから頑張って下さいよ、お龍さん。あと一回射精せずに気を遣れば、お嬢さんと一緒に帰れるんですから」

「ほ、本当に、帰してもらえるんですね」

「もちろんだ、武士に二言はない」と親分が言ったので、皆がドッと笑った。

「その代わり、もし射精してしまったら、家に帰れないばかりか、精液はお京が飲むことになるからな」

「あ、は、はい、わ、分かってます」

お銀の巧みな愛撫を乳房に受けて既に高ぶっているお龍が喘ぎ喘ぎ答えた。

「それじゃ覚悟して下さいよ」

相模屋が細い筆を近づけ、「アァァァ」とお龍が喘いだが、筆が陰核に触れる直前で相模屋は手を止めた。

「一つ言っておきますが、さっきからお龍さんの反応を見てて気づいたことがあるんですよ」

「何ですか?」とお銀が乳房を揉みながら尋ねた。

「陰核亀頭と陰核胴部を比べると、もちろん陰核亀頭の方が快感は強いのでお龍さんの反応も激しいんですが、射精を誘発させるにはどうやら陰核の胴部を弄るほうが良さそうなんですよ。特に後門で気を遣るコツを掴まれたあとはね。陰核亀頭だと上手く射精せずに気を遣れるようになったみたいなんです」

「へぇー、そんなことがあるんですか?」

「私も知りませんでしたが、今までずっと見てると確かにそうなんです。ですから、止めを刺す役目の私としては、陰核胴部も忘れずに弄らないといけないということなんですな」

相模屋はそう言うとお龍の方を見てニヤリと笑ったが、お龍は自分でも気付かなかった秘密を探り当てられたような気がしたのであろう、少し強張ったような表情を見せるとすぐに横を向いてしまった。

「おやおや、ご機嫌を損ねてしまったみたいですな。まあ、本当かどうかこれから試してみれば分かること。それより、お龍さん、もう私に後門を弄ってと言っても出来ませんからね。フッフッフッ」

相模屋に後門弄りを頼めない。お龍にとってこれは痛手であろう。先ほど来、射精しそうになるとまるで助けを求めるかのように相模屋に後門を弄ってもらって気を遣っていたのである。相模屋の次に前立腺弄りの上手いのはお銀であるが、お銀は乳房に掛かりっきりであるし、親分や鉄矢、或いは若い衆に果たしてそれが務まるだろうか。

お龍は顔を横に向けたままであったが、その表情は不安を隠せなかった。

「それではいきますよ。まずは一番敏感な陰核亀頭から」

そう言うと相模屋はたっぷりと媚薬を漬けた細い筆をお龍の陰核亀頭に触れたのである。


 

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