肛宴のお龍

4.詫び状

お龍を座敷牢へ入れると直ぐに、お銀は奥座敷に残った親分に呼ばれた。

「さっきの事だが、もう少し詳しく話してくれないか。女を責めるにあたってはお前の右に出るものはいないからお前の言うとおりにしたが、俺も勉強したくてな」

「もちろんですよ、親分さん」

そう言うとお銀は親分の横に座り、酌をしながら話し始めた。

「話には聞いていましたけど、お龍って女は大したものです。度胸が座っているというか。もちろん人前で着物を脱ぐなんていうことは恥ずかしい筈でしょうけど、一旦覚悟を決めるとそんなことも平然とやってのけるんです。それで、私はわざと、『安心して素っ裸におなりになって下さい』って素っ裸っていう言葉を言ってやったんです。そうしたら、その一瞬はさすがに顔が強張りましたが、すぐに元に戻って平然と伊達締めを解き始めたでしょう。だから止めさせるようお願いしたんです。あれでは 長襦袢を脱がしたって、さらに素っ裸にしたって面白くない」

「さすがにお銀だな、そこまで見ぬいてたのか。お龍は確かに出入りの時など大勢に囲まれても動揺というものをしたことがない。だから逆に刀や短刀を持って取り囲んでいる側が恐れてしまうんだ。まさに剣の達人なんだが、着物を脱がされる時も同じとは驚きだな。それでどうするんだ?」

「まあそれは後のお楽しみですよ、親分。でもその前に長襦袢を着たままでいいことをさせますよ。裸にならなくても出来ることはあるでしょう?」

「何だそれは?」

「女の身体には口が三つあるでしょう?」

「お龍の口でさせるのか?」

「そうです」

「そ、それはちょっとこっちが怖いというか。噛み千切られるんじゃないか?」

「心配無用です、親分。お京の目の前でさせるんですよ。私に任せて下さい。お龍も馬鹿じゃない。それにあの気の強い女の自尊心を木っ端微塵に砕くのはあれが一番です」

「それもそうだな」

「あっ、ところで親分、源太の姿が今日は見えませんが」

「源太に何か用か。あいつは隣町まで使いに出したんだが、もう直ぐ帰ってくるはずだ」

「源太にはトリを務めてもらおうと思いまして。何せ源太の一物は大きさも馬並みですが、その射精の凄まじさと言ったら・・・」

「話には聞いているがそんなに凄いのか」

「一度、逃げようとした女郎を見せしめの為に源太に犯させたことがあったのですが、その瞬間に膣から溢れだした量の凄かったこと。結構大柄な女郎だったんですけど、次から次から溢れだすんですよ」

「それをお龍の口にか」

お銀はニヤリと笑うと、「じゃあ、30分後位からでいいですか」と言い、親分が頷くと満足そうに立ち上がって座敷を出ていった。


座敷牢に入れられた私は、両足を繋いだ縄も、後手に括られた縄も解かれて、しばしの休息を与えられ ました。そこは窓こそ無いものの清潔な畳が敷かれた四畳半の和室で、二方が薄い緑色の土壁、一方が板壁、そして残りの一方に木の格子が嵌められています。

それにしても一体全体東組の奴らは何を考えているのでしょう。さっきは着物を脱いだあと、長襦袢をも脱ぐ覚悟を決めたのに、伊達締めを解こうとしたところで待ったが掛かってしまいました。 気勢をそがれたとはまさにこのことで、私は次に何が起きても動転しないようにと、部屋の一番奥の隅にきちんと正座し、目を瞑ってゆっくりと深呼吸をしながらお銀さんが戻ってくるのを待っていました。

もう小一時間も待ったでしょうか、廊下に足音が近づいてきたと思って目を開けると、お銀さんが格子の向こうに現れました。

「お待たせしたわね。やっとお龍さんの出番だよ。また手と足を括るから、両手を後ろに回してこの格子の間から出すんだよ」

私は立ち上がって格子の前まで進み、後ろ向きになって格子の間から後手に組んだ両手を突き出すと若い衆がすかさず縄を掛けます。

「足もだよ」

私はその場に跪くと、後ろににじり寄って揃えた両足を一番下の格子の間から出し、さっきと同じように30センチ程の間隔をあけて縄で括られました。

「じゃあ出ておいで」

若い衆に縄を引かれて私は座敷牢から出され、「こっちだよ」と言って廊下を歩いて行くお銀さんの後に続きました。

何度か廊下を曲がって着いたのは先程の奥座敷ですが、そこには誰も居らず、先程お嬢様が閉じ込められていた部屋との仕切りの襖もピシャリと閉じられています。

先程との違いと言えば、座敷の真ん中に豪華な椅子が一つポツンと置かれ、その足元には座布団が一つだけ敷かれています。 さらに椅子を取り囲むように何枚もの座布団が置かれています。

先に座敷に入ったお銀さんが振り返って言いました。

「さあ、こっちに入ってあの座布団に座るんだよ」

お銀さんが言い終わらないうちに、若い衆に背中をどんと押された私はよろめくように奥座敷に足を踏み入れ、さらに二三度背中を押されて真ん中に置かれた座布団に正座しました。

「こっちの準備は出来ましたよ、親分さん」

お銀さんが廊下に向かって声を掛けると、しばらくして東の親分さんがニヤニヤと笑いながら若い衆をぞろぞろと連れて入ってきて、私の前の椅子にどかっと座りました。若い衆たちも親分の 周りにずらっと並んで腰を下ろし 、持ってきた一升瓶や盃を前に並べました。

「こっちも準備完了だ、お銀」

「では」と言ってお銀さんは袂から巻物を取り出しました。そして、一つ咳払いをしてから口上のようなものを述べ出しました。

「えぇー、東の親分さんは大変心の優しい方でありまして、お龍がこの場できちんと詫びを入れれば、過去お龍の仕出かした様々な過ちを水に流し、お京さんも家に帰すと仰っています」

親分さんは真面目な顔で何度も頷きながらお銀の口上を聞いています。

えっ、詫びを入れるだけでいいのですか?

闇の向こうに少し光が見えたような気がして、私は頬が少し綻ぶのを止められませんでした。

「じゃあ、お龍さん、これが詫び状よ。あんたに代わって書いてあげたんだから、しっかりと読みなさいよ」

そう言うとお銀さんは巻物を私の目の前に広げ、私は下手くそな字で乱暴に書かれた詫び状の内容を目で追い始めました。

詫 び 状

私、お龍は今まで東組の皆様に対して犯した数々の過ちを深く反省しております。この反省の気持ちが嘘偽りで無いことをお示しする為に、今から皆様の尊い精液を頂戴し、一滴も零さずに飲み干したく存じます。ぜひ皆様の暖かい御心で、このお龍をお許し頂きたく、今から順に皆様の一物に口を付けさせて頂くことをお許し下さい。

お龍

「こ、これは・・・」

「書いてある通りよ。読んでその通りすれば、あんたもお嬢さんも家に帰れるんだよ」

「・・・」

「どうしたんだよ、生娘じゃあるまいし」

そう言ってお銀さんが笑うと、親分さん始め若い衆達もゲラゲラと笑います。

ああ、何ということを。男の子として育てられていた間は別にして、私は男性の一物を見たこともありません。それなのに、口を付けるなんて。しかも精液を飲み干すだなんて。

私が呆然として詫び状を見つめているとお銀さんがイライラした口調で言いました。

「あんたがやらないのなら、お京にさせてもいいんだよ」

そして襖の方を向いて「お京をここへ」と言うと、襖がスーっと開いて縄を掛けられたお嬢様が、もがきながら二人の若い衆に両側から抱きかかえられるように連れてこられました。

「そこを、おどき!」

お銀さんがそう言うなり片足を上げて私の肩の辺りを蹴ったので、私は後手に縛られたままで横に転がり、空いた座布団にお嬢様が座らされました。

「ちょうど嫁入り前だからこういう練習をしておくのも悪くないわね、お嬢さん」

そう言って親分に目配せしてから、お銀さんがお嬢様の髪を掴んで大きく開いた親分さんの両脚の間に近づけると、親分さんが着物の裾をたくし上げます。

「ま、待って下さい。わ、私がします。私がしますからお嬢様にはそんなことを・・・」

後手に縛られて自由の効かない身体のままで何とか親分さんの前へにじり寄った私は畳に額を擦りつけて呻くようにお願いしたのです。

「じゃあ、まず詫び状を読むんだよ、お龍さん」

頭の上でお銀さんの声が響きます。

そしてすでに少し涙で濡れた顔を私が上げると、お銀さんがもう一度詫び状を私の眼の前に広げました。

「お龍さん、頑張って読むんだよ。そして何人かのを咥えてやれば、それで二人共帰れるんだから」

お銀さんの声が優しく響きます。

「は、はい・・・」

私は自分に言い聞かせるように返事をすると、きちんと座り直し、一度大きく息を吸ってから詫び状を読み始めたのです。


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