エピソード III〜 静子

9.開眼

「フゥーーー」

岡田夫人は大きく溜め息を付きました。

「とうとうあなたの潜在的な気持ち、いえ欲望といった方がいいのかしら、それが表に出てきたのね。ちょっと休憩しましょう。もう一本ワインを持ってくるわね」

「いえ、私はもうこれくらいで。これ以上飲んだら運転が」

「静子さん、今日は泊まっていきなさい。ボストンからの帰りで疲れているでしょうし、家に帰ってもコージさんは居ないのでしょう?」

「ええ、そうですけど」

「じゃあ、決まり。もう一本持ってくるわね、あなたの話は聞いてるだけで喉が渇くのよ」

立ち上がると岡田夫人はガウンの裾を翻してワインセラーの方へ行きます。

「お手洗い、お借りしていいですか?」

静子が岡田夫人の背中に向かって尋ねます。

「もちろんよ、場所は知ってるわね?」

「はい」

少し尿意を催してきたこともあるのですが、あの夜のケイトとの話をしているうちに、ひどく下着が濡れてきたのです。

ピッチリと腰に張り付いていたジーンズを降ろしTバックも太腿の中ほどまでずらすと、糸を引くほどに局部が濡れていますが、そのまま便器に腰をかけて排尿をすませてから、バスルームティッシュで丁寧に拭います。白のレースのTバックにベットリと付いた愛液も、ティッシュを押し付けるようにして、少しでもティッシュの方に染みこませます。

もう一度Tバックを引き上げると、局部にヒンヤリと張り付いて身体がブルッと震えます。ジーンズを穿いて鏡を覗き込むと、あの時と同じ黒のTシャツを着た自分が、あの夜と同じような妖しく濡れた目でこちらを見詰めています。

リビングに戻ると、岡田夫人がワインの栓を開けているところでした。

「今度はキャバルネにしましょう。あなたがケイトと再会した日に飲んだのと同じね」

「ええ」

岡田夫人は静子のグラスに、そして自分のグラスにもたっぷりとワインを注ぎます。

静子はグラスを手にしてゆっくりと回しながら中を覗き込みます。先ほどまでのシャルドネとは違って、少しとろみがかったような濃い赤の液体が、静子の気持ちを言い当てているような気がして、静子はグラスに鼻をくっつけて胸いっぱいにその芳香を吸い込みました。

「ああ、いい匂い」

そして一口啜ると、熟成された心地良い味が口いっぱいに拡がります。

「美味しいわ」

「なかなかいけるわね、このワインも」

岡田夫人も気持ち良さそうに匂いを嗅ぎ、そしてワインを一口飲むとグラスを置きました。

「さあ、続きを話して、静子さん。あなたのペニスでケイトを犯したのでしょう?」

「ええ、そうなんです・・・」

岡田夫人にストレートに尋ねられて静子は少し顔を赤らめましたが、一つ深呼吸をすると続きを話しはじめたのです。

* * *

「あなたを犯したい!」

静子が言うとケイトの目が妖しく輝き、再び大きく唇を開くともう一度静子の巨大なペニスを咥えて一気に根元まで飲み込んだのです。そして静子の恥丘に唇を付けたまま喉の奥深くでしばらくペニスを味わっていたケイトはゆっくりとペニスを吐き出し、「私を犯して、静子!」と喘ぐと、シーツを裸身に巻きつけて仰向けに横たわり、情欲で燃えあがる目で静子を見詰めるのです。

ケイトのそんな動作は、思いがけない言葉を発してしまったものの直ぐには何も出来なかった静子の潜在意識に火をつけたようです。

自然に手が動いてケイトの身体に巻きついているシーツを掴むと、一気に引き剥がしてしまいます。

「ああ、いや、静子」

ケイトは慌てて両手で胸と局部を隠しますが、静子は黙ってケイトの揃えた太腿を抉じ開けるようにその間に膝立ちになり、ケイトの両手を掴むと身体の両側に大きく拡げます。そしてそのまま 上体を倒していくと、仰向きになっても少しも崩れないケイトの見事な乳房に顔を近づけ、その頂でフルフルと震えているピンク色の乳首を唇に含んだのです。

「ァァァアアア」

ケイトが喘ぎながら仰け反り、静子は唇を大きく開くと柔らかな乳房を優しく吸いながら舌で乳首を愛撫します。

「ァアア、静子、ァアア」

ケイトは両手を拡げられて静子に固定されたまま、裸身をくねらせていましたが、もう我慢が出来なくなったのか、脚を大きく開くと静子の腰に巻きつけたのです。

「静子、犯して!私を犯して!」

静子はケイトの乳房から唇を離すと再び上体を起こし、局部に生えた巨大なペニスを見詰めながら立て膝にしていた脚を大きく拡げ 、膝を曲げながら腰を落としました。すると、静子の動きに合わせるようにケイトは静子の腰に巻きつけていた脚を離すと、両手で太腿を抱えて大きく開いたのです。ケイトのラビアが静子のペニスの目の前で花びらをしとどに濡らして開花しようとしています。

静子は両手をケイトの顔の横に付くと身体を前に倒しながらペニスの先をラビアに触れさせようとしますが、少し距離がとどきません。

『意外に難しいものね』

静子は少しケイトの方へにじり寄ります。

亀頭部がラビアに触れ、ケイトが喘ぎます。

そしてそのままもう一度身体を倒そうとしましたが、まだ少し場所が違うようでペニスがつっかえてしまいます。

「ァア、もう少し下」

ケイトが喘ぎます。

静子は右手でペニスを少し下にずらします。すると巨大なペニスがまるで魔法のように飲み込まれていきます。

「ァア、ァア、ァアアア」

ケイトが感極まったように喘ぎます。

そして静子が完全に身体を倒してケイトと密着させ、ペニスが太い根元までケイトのヴァギナに収まった瞬間、ケイトは「ヒィィィイイイ」というような悲鳴を上げながら身体をブルブルと震わせたのです。

「ぁあ、ケイト、あなたを犯してるのね、ぁあ、ケイト!」

静子はケイトの震える裸身を力いっぱい抱きしめると、ケイトの唇に自分の唇を重ね、舌を差し込みます。そしてケイトの舌が絡んでくると、その舌を吸いながら、今度は腰をくねらせたのです。

「ムゥ、ムゥ」とケイトが呻きます。

そして夢中で腰を動かすうちに、静子は自分のヴァギナにもペニスを 挿入していることを思い知ったのです。しかもペニスの太い根元がクリトリスを押し潰さんばかりに愛撫してくるのです。

『ああ、そんな、アア』

静子はぎこちない動作でピストン運動を始めます。いつもコージに抱かれながら身体が感じた動きを、恐る恐るケイトに向かって始めたのです。

「クゥッ、クフゥッ、フゥッ」

もはやケイトの舌を吸う余裕は静子にはありません。快感に負けないように歯を食い縛っても、腰を前に突き出す度に、自らのヴァギナが震え、クリトリスが悲鳴を上げます。

そして静子にとって嬉しいことに、自らの腰の動きに合わせるように、ケイトが喘ぎ始めたのです。

「ァア、ァア、ァアア」

『ケイト、感じてるのね、ケイト、私のペニスで感じるのね』

今までいつも男のペニスに貫かれてきた静子が、もちろん時には自ら腰を突き上げたり、或いは女性上位の体位で自分から腰を動かしたことはあっても、常にペニスを受け入れる立場であった静子が、生まれて初めて相手の体内にペニスを挿入し 、しかも何度も何度も抉るように自分のペニスを相手のヴァギナに突き立てているのです。

「クゥッ、クフゥッ」

「ァアッ、ァアッ」

いつしか静子の動きはリズミカルになり、その動きに合わせるように快楽の呻きが漏れ、そしてケイトがピッタリとリズムを合わせるように喘ぎます。

「クゥッ、クフゥッ、クゥッ」

「ァアッ、ァアッ、ァアッ」

『ああ、もうイキそう』

あまりの快感に静子が思わず動きを止めると、それが却ってケイトを追い詰めたようです。

「ああ、静子、突いて、もっと強く、もっと激しく!」

そして静子が、もうどうにでもなれと再び腰を激しく動かし始めると、ケイトは「ぁああ、イクわ、私はイクわ!」と叫びながらブルブルと身体を震わせ、そんなケイトの裸身をギュッと抱きしめる静子の身体も震え始めたのです。

「ぁあ、ケイト、私も、ィクゥゥゥウウウーーー」

「静子、私もよ、イクゥゥゥウウウウーーー」

* * *

「フゥーーー」

岡田夫人は再び大きく溜め息を付くと、ワイングラスを手にとりキャバルネをゴクンと飲みました。

「あなたのペニスでケイトはイッタのね」

「ええ。そして私も一緒に」

静子もワインを一口含みます。

「長いオーガズムだったのでしょう?」

「覚えていませんが、きっと何十秒もの間ギュッと抱きしめ合っていたと思います」

「それから?まさか一回で終わったんじゃないんでしょ?」

「ええ」

紅潮した顔で静子は頷きます。

「絶頂が過ぎるとまた腰を動かしたくなって、そして少し 動かすとケイトが喘ぎながら下から腰を突き上げてきて、それでもう私は訳が分からなくなって必死で激しく動かして、また直ぐに二人一緒に・・・」

「そして二度目の絶頂が過ぎるとまた・・・」

岡田夫人がじっと静子を見詰めます。

「そう、また・・・」

「一体、何度くらいイッタの?」

「さあ、そんなこと覚えてません、でも四、五回は少なくとも」

「そして最後は?」

「最後はケイトが、もう駄目って」

「あなたの勝ちね」

「勝ちかどうかわかりませんが、ケイトを征服したって感じがしたんです。私に降参したケイトがとても愛しくて、ギューッて抱きしめて、何度も何度もキッスしました」

「それで朝まで一緒に過ごしたの?」

「それが正気に戻ると恥ずかしくて、ペニスを外すとバスルームへ行って綺麗に洗って、服を着て自分の部屋に戻りました」

「あら、そうなの」

「翌日、会場でケイトに会って、お昼は一緒に食べて、でも前夜の話は全然せずに、また来年会いましょうねって。それでおしまい」

「そして夕方の便で帰ってきたのね」

「そうです」

「ケイトとはどうするの?」

「どうするって?」

「来年まで会わなくてもいいの?」

「ケイトはちゃんと結婚したいみたいだし、だから彼女とはたまに会うだけでいいんです」

「年に一度の逢瀬というわけね」

「或いはもう会わないかも。昨晩が最初で最後の・・・」

「あら、どうして?好きなんでしょ?」

「好きだけど、ケイトとはそういう関係にはなりたくないというか、昨夜のことは夢だったことにしておきたいような・・・」

「大切な想い出にしたいのね」

「そんな感じですね」

「でも、じゃあ、他に恋人が欲しいわね。彼女っていう意味よ」

「ああ、そんなことないです」

「そんなことないことないでしょ、静子さん?あなたはレズの楽しみが、それも犯す快感を知ったのだから」

「それはたまたまケイトが」

「だからケイトに代わるような素敵な彼女が現れたらっていうことね」

「意地悪な岡田夫人」

「そういう事なのね。じゃあもう許してあげる。でも残念ながら私は駄目よ。私はその気はないから夜中に襲わないでね。でもキッスくらいはしてあげるわ、可愛い静子さんだから」

岡田夫人はそう言うと静子をギュッと抱きしめて頬に軽く唇を付けました。


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