有馬温泉編(12)

着付け直し

お 二人を追って慌てて薄暗いバーから飛び出した私でしたが、沢山の人が行き交う明るい ロビー ではこの格好は恥ずかしすぎて、バーを出たところで立ちすくんでしまいました。ロビーを行き交う宿泊客は女性はピンク、そして男性は水色の浴衣をきちんと着ておられます。 それなのに私の格好と言えば、普通の超ミニならまだしも、皆さんと同じピンクの浴衣を太腿を殆ど露出させるまでたくし上げているのです。しかも勃起したペニスの感触が太腿に直接伝わってきて、下着を着けていないことを改めて思い知らされます。 お 二人はそんな私を気にも留めずにさっさとお土産コーナーに向かわれます。

ああ、待ってください。一人にしないで。

私は しばらく躊躇したあと、思い切ってお二人を追いかけますが、太腿でペニスを挟んでいるので早くは歩けません。すれ違う男性達は私を見るとニヤリとしてじっと見つめられますし、女性達は軽蔑したような眼差しを投げかけられます。

そして、その途中、ロビーの大鏡に映った自分の姿を見て私は泣き出しそうになりました。

少し涙が滲んでいるのは知っていましたが、鏡に映った私の顔は汗ばんで上気していて、髪は乱れ、たった今絶頂に達しましたといわんばかりの欲情した表情をしているではありませんか。しかも先程まで辛うじて肩の端にひっかかっていた襟 の左側はずり落ちて、左の肩から乳房までがほとんど露わになっています。

私は右手で左の襟を引き上げながら小走りでお二人を追いかけ、やっとのことで追い着きました。

「化粧室に行かせて下さい」

静子夫人は振り返って私の体を上から下まで眺めると、「まあ酷い顔。それに浴衣も乱れてしまって。仕方ないわね、行きましょう」と言って私の手を取って化粧室へ連れて行って下さいました。 星野夫人も後ろから着いて来て下さいます。

化粧室には幸い他のお客様はおられません。化粧品は置いてませんでしたが、水を含ませたティッシュで汗をぬぐって顔の火照りを鎮めてもらい、髪をもう一度アップに結い直してもらうと何とか見れる顔になりました。

「浴衣も着付けし直さないといけないわね」と静子夫人が言いながら私の帯を解き始めると、「私にさせてもらえません?着物の着付けは慣れてますのよ」と星野夫人が仰います。

「助かるわ。ぜひお願い。素敵な格好にしてあげて」

静子夫人は微笑みながら星野夫人と入れ替わります。

「浴衣って色んな着方ができるのよ。一度脱いでみて?」

「ここでですか?」

私は入口の方を見て誰も入ってこられないのを確認してから、鏡の方を向いて襟を肩から落とします。もちろんペニスは太腿できちんと挟んでいます。そして思い切って両手を下ろすと浴衣は肘の辺りで引っかかってお尻を隠 すだけになります。鏡には乳房が、腹部が、そしてピタリと閉じた太腿の合わせ目が映っています。

星野夫人が後ろから浴衣を支えると、私は両腕を伸ばし、両袖を抜いてもらって化粧室の中で全裸になります。

ギーという音でドアが開いて二人の婦人が話しながら入ってこられました。私は両手で乳房と局部を隠して反対側を向きますが、婦人達は全裸の私に驚いて立ち止まられ たようです。

「驚かせて御免なさい。着崩れしてしまったので着付けをし直しているんですの」

静子夫人が微笑むと、婦人達は不審そうに私たちを見ながらそれぞれ個室へと入られました。

「さあ、こっちを向いて」

星野夫人に言われて私は鏡に背を向けます。

「もう一度袖を通して」

星野夫人が今度は私の前で浴衣を拡げています。

「ええっ、後ろ前に着るのですか?」

「そうよ、騙されたと思って言うとおりにして」

星野夫人が微笑むので、私は怪訝な顔のままで袖に手を通します。静子夫人も興味深そうに眺めておられます。

「もう一度鏡の方を向いて」

鏡の方を向くと、星野夫人はまず前襟を、といっても本来は後襟なのですが、後ろ前に着ているので前になっている襟の部分を首の付根にきちんと当て、余った襟を背中の方へクイッと引っ張ります。首筋が綺麗に詰まった ワンピースのようになりました。次に脇の下からウエストにかけての生地が後ろに引っ張られ、胸の膨らみやウエストの括れが強調されます。

まあ、なかなか素敵なドレスになりそうだわ。それに先程のように大きくたくし上げて太腿を大胆に露出させられることも無さそうです。

星野夫人はしばらく後ろで生地の調整をされておられるようでしたが、やっと出来上がったらしく帯をウエストの高めのところに回し、体の右側で綺麗なリボン結びに締めて下さいました。 少し短めの浴衣が、膝が少し見える程度の上品なドレスに早変わりです。

「どう?」

星野夫人が鏡を覗き込んで満足そうに尋ねます。

「ええ、素敵なドレスですね」

太腿を付根から晒さなくて良いのが私には何よりです。

「本当に素敵よ、ドリー。どこかのショーでも浴衣生地のドレスを見た事があるけど、こんなに簡単にできるなんて、星野夫人、素晴らしいですわ」

静子夫人も嬉しそうです。

背中が大きく開いているのでしょう、少し後ろがスースーします。でもお尻の辺りも少しスースーするような気がします。

私は静子夫人達の方に向き直って後姿を鏡に映します。背中は予想通り大きく開いてい ますが、私は背中には自信があるし、ブラをしてないのも明らかですが、それも慣れています。

しかし問題はその下です。ウエストの高いところで留めている帯から下は左右の合わせ目がほんの少しで、まるで裾までのスリットドレスのようです。星野夫人は左右の身頃を折りたたんで、体の後ろがぎりぎり隠れるだけの生地幅に調整されていたのです。

まっすぐにじっと立っていればお尻も太腿も辛うじて隠れていますが、少しでも前かがみなればスリットが大きく開いてお尻は露わになりますし、歩くだけでもスリットの間から太腿が見えてしまうでしょう。

「ああ、スリットが大きすぎます」

「体を捻るからスリットが開くのよ。鏡を向いて真っ直ぐに立って御覧なさい」

静子夫人に言われてもう一度鏡の方を向き、お二人に後ろを向けます。

「ほら、全然見えないわ。大丈夫よ」

「本当ですか?」

ジャーと水洗の音がして先程の婦人が個室から出てこられました。もう一人も続いて出てこられます。

「さあ、ドリー、行きましょう」

静子夫人が私の左腕を取り、星野夫人も反対側の腕を取って私を連れ出そうとされます。

私は腕を引っ張られながら顔を右に向けて横目で鏡に映る姿をチェックします。

ああ、やっぱり歩くとウエストから下のスリットが拡がって、下着を着けてないお尻も太腿もチラチラと見えているではありませんか。

「無理です、こんな格好では」

私は何とかその場に留まろうとしますが、個室から出たばかりの二人の婦人がおられるのであまり激しく抵抗はできず、「暴れると余計にスリットが開くわよ」と静子夫人に言われると、私はもうそれ以上は逆らえずに、ただ、「嫌です、嫌です」と 首を左右に振りながら引きずられるように化粧室から連れ出されたのです。

ロビーに出てしまうと両腕をお二人に取られたままおとなしく歩くしかありません。ああ、そんなに早く歩かないで下さい。

上背のある私を中央にして女三人が横一列に腕を組んで歩いているのでどうしても人目を引いてしまいます。まして静子夫人も星野夫人も素晴らしい美貌の持ち主です。すれ違う男性客も女性客も まずお二人に目を留め、そして私のドレスに視線を移して不思議な顔をされます。普通ならドレスを見つめられるのは嬉しいのですが、今は違います。お願いですから振り返らないで。

先程も通った大鏡を横目で見ながら通り過ぎます。帯から上の背中は大きく開いていますが、これは構いません。でも歩幅を小さくして歩いているのに、お尻がスリットの間から はっきりと覗いています。そしてもちろんお尻から続く太腿も内側まで露わではありませんか。化粧室から出るときに抵抗したので浴衣の合わせ目が全く無くなってしまっているのです。

「ああ、お尻が見えてます、静子夫人、星野夫人」

左右から両腕を組まれているので、手でお尻を隠す事もできません。

私は立ち止まる事も許されないまま、私は大勢が行き交うロビーを横切ってお土産コーナーへと連れて行かれるのです。

私の後姿に気付いた人たちがヒソヒソと囁いている声が聞こえます。

ああ、星野夫人、許して下さい。静子夫人、許して。さっきの超ミニの方が未だましです。

お土産コーナーに着くとやっと両腕を離してもらい、私は後ろ姿を隠せるところを探して奥へと向かいます。幸か不幸か私たち以外には中年女性の三人連れがおられるだけです。女性達は私 の格好をじろじろとご覧になっていましたが、後姿に気付くなり眉をしかめ、そそくさと勘定を済ませてどこかへ行ってしまわれました。

ホッとしていると、静子夫人が気付かれて、「ドリー、フロントへ行って周辺の地図を貰ってきてくれない?」と仰るのです。

「私たちはここで待っているわ」

ああ、何ていうことでしょう。この格好で一人でフロントへ行かなければならないのですか?

この旅館は玄関を入ったところの玄関ロビーにフロントだけがあり、私達のいる大きなロビーは吹き抜けの中二階の位置にあるのです。玄関を見下ろすとちょうど10人足らずのご婦人のグループが賑やかに入ってこられたところです。

「じゃあ、お願いね、ドリー」

夫人の優しい口調は早く行きなさいという命令です。右手でお尻を探ると、合わせ目は完全に開いてしまっています。これでは真っ直ぐに立っていてもお尻が見えてしまいます。

「ああ、静子夫人、合わせ目が開いてしまっています」

静子夫人は私の後ろに回りこむと、「まあ、本当だわ。お尻が丸見え。星野夫人、少しだけ直していただける」と星野夫人を手招きします。

入口の辺りにおられた星野夫人は微笑みながらやって来られると、「ドリーさん、浴衣を着たら御しとやかにしてないと駄目ですよ」と仰り、後ろに回って後身ごろ(本当は前身ごろです)の生地をキュッキュッと引っ張り、一旦帯を緩めてから締め直して下さいます。

「これで良いわ。触ってみて?」

もう一度右手でお尻を探ると、確かに合わせ目が少し出来てお尻は隠れています。

「じゃあ、行ってらっしゃい、ドリー。御しとやかに歩くのよ」

静子夫人が仰うと、横で星野夫人が笑いを堪えておられました。

私はできるだけ小さな歩幅でお土産コーナーを出て、緩やかな勾配のエスカレータに乗ってフロントのある1階へ向かいます。

左側は天井までのガラス張りで日本庭園が見渡せますが、私にはとても庭を見る余裕はありません。後ろから誰も来ませんように。

エスカレータが中ほどまで降りると玄関ロビーから私の姿が見えるらしく、一人のご婦人が私の 姿に気付くと何人かが私の方に顔を向けられました。前からだと変わった浴衣の着こなしにしか見えないのですが。。。

エスカレータがゆっくりと1階に近づくにつれ、より多くのご婦人達が私の姿を興味深そうにご覧になります。

手すりをしっかりと握ってそろりとエスカレータから降り立ちます。右手で後ろを確認しますが、合わせ目はまだちゃんと残っていてお尻を隠しています。

コンシェルジェはチェックインの係りの向こう側におられるので、ご婦人達の列をぐるりと回って行かなければなりません。 一人が私の後姿に気付かれたようで、ヒソヒソ声が広がって行きます。

「まあ、見て、あの人、浴衣を後ろ前に着て、背中は丸出しよ」

「それより太腿が上まで見えそう」

「お尻まで見えてるんじゃない」

「下着は穿いてないみたいよ」

ああ、小さな歩幅で歩いても、やっぱり見えてしまうのです。私は玄関の前で脚を揃えて立ち止まってしまいました。そろりと右手を後ろに回して合わせ目を確認します。じっと立っておれば辛うじて隠れているようです。でも歩くと。。。

その時、玄関の大きなガラスのスライドドアがスーと開いて、ヒューと涼しい風が舞い込むと共に、ゴルフの帰りのようなラフな格好の男性の4人組が入ってこられました。 私はちょうど彼らの行く手を遮る格好になってしまい、男性達は私を避けながら二人は私の前を通って、二人は後ろを通って先程のご婦人達の列の後ろに並ばれましたが、幸い私の着ているのが浴衣であることも、また後ろのスリットにも気が着かれなかったようで、ちらりと顔を見られただけでした。

コンシェルジェはチェックインの列のすぐ左隣で、お揃いのジーンズとTシャツ姿の男女のカップルが何事か尋ねているところです。仕方なくその後ろに立って待つことにします が、すぐ 右側に列を作ってチェックインを待っているご婦人たち、そして男性達に後姿をまともに晒すことになってしまいます。

私はスリットが開かないように脚をきちんと揃えて体を真っ直ぐにして順番を待ちます。それでもご婦人達のヒソヒソ話が聞こえてきます。 前の男女はまだ色々と尋ねている様で、係りの女性があちこちに電話をかけています。

玄関のスライドドアがまたスーと開いた と思ったら、風が舞い込んで浴衣の裾が翻ります。あわてて両手でお尻を押さえますが、ご婦人達にしっかりと見られてしまったようです。

「今の見た?」

「やっぱり穿いてないみたいだわ」

「露出狂かしらね。嫌だわ」

玄関から入って来たのは話し声から若い男性のグループのようです。そして声が小さくなったと思ったら足音が近づいてきて、若者達は私のすぐ後ろに並んだのです。いつまでもお尻を押さえているのは恥ずかしくなり、風が止んだので両手を前に戻します。スリットはちゃんと閉じているかしら。

若者達は小声でボソボソと話していましたが、次第に私の耳にもはっきりと聞こえてきます。

「今の見たか?」

「もちろん」

「穿いてないみたいやった」

「次は傍でバッチリ見ようぜ」

「お前、ドアのとこまで行って開けて来いよ。また風がピューとな」

「ヒッヒッ」

ああ、若者達にもしっかりと目撃されてしまったようです。そして今度は間近でもう一度見ようと私の後ろに陣取っているのです。そしてどうもその声に聞き覚えが。。。

ああ、どうしましょう。先程脱衣場で、そして金泉で一緒だった若者達です。 私は気付かれないように前をじっと見ています。髪もアップにしていることだし、顔さえ見られなければ大丈夫かしら。ああ、でも脱衣場でも髪をゴムで留めてました。しかも私のように上背のある女性も少ないでしょうし。

若者達の声が一段と小さくなります。

「おい、前の女、もしかしてさっきの」

「ええ、うっそー?」

「背も高いし」

「俺、背中に見覚えある。きっとそうや」

ああ、もう知られてしまったみたいです。

「お前、声かけろ」

「いや、お前が。俺は風呂で声かけたやんか」

ああ、最初に声をかけてきた小柄な彼です。

「お前、さっき一番話してたやないか」

「しゃあないな。ほんじゃ、やってみるか」

この声は一番背の高い、金泉で手を繋いでくれた若者です。

そして、ああ。彼が近づいてきます。

「すみません。さっき風呂場で一緒だった」と言いながら若者が私の顔を覗き込みます。

私は諦めて彼の方に少し顔を向けます。

「あっ、やっぱり!」

若者はホッとしたようにニッコリ笑うと後ろを振り返り、「やっぱりそうや」と言い、後ろで待っていた二人も前に回ってきてニヤニヤしながら私を取り囲みます。

「何か、浴衣、凄いですね。さっき後ろから見てびっくりしました」

まあ、いきなりストレートなことを言う若者です。私は何て返事をしていいものか黙っていると、

「お姉さんって、露出プレイが好きなんですか?さっきも凄かったけど」

まあ、何という若者でしょう、核心を突いてくるではありませんか。

「いえ、お友達に着せてもらっただけ」

私は話を止めようと前を向きます。

「お友達と一緒なんですか?」

若者はしつこく尋ねます。

「ええ」

私はできるだけ冷たく言い放ちます。

「そのお友達って女性、それともお姉さんと同じ・・・」

「二人とも女性よ。それも凄い美人の」

私は少し彼らをからかってやろうと思いました。

「じゃあ、そのお友達も一緒に出かけませんか?」

まあ、私達をナンパするつもり?

私は可笑しくなってクスッと笑ってしまいましたが、「御免なさいね、今からお部屋で三人で食事なの」と言って前を向きました。

でも若者はしつこく尋ねてきます。

「食事の後はどうされるんですか?」

さあ、食事の後はどうなるのでしょう?私はふと次の責めのことを思い巡らせてしまいました。星野夫人の次なる責めのことを。さっきは聞かされる前にバーを出てきてしまったのです。

私は若者の方を向くと、星野夫人、そして静子夫人の顔を思い浮かべながら言いました。

「私も知らないのだけど、きっととても楽しいことをお部屋でするわ」

「僕達も参加するっていう訳には?」

若者はきっと淫らなことを想像しているのでしょう。ニヤニヤ笑いながら尋ねてきます。ここはきちんとお断りしなくては。

「御免なさいね。私たちはレズビアンなの。だから男性には興味無いの」

さすがに『レズビアン』と言われては若者も驚いてあきらめたようです。しぶしぶ去って行きましたが、振り返ると「じゃあ、また男湯で!」と周りに聞かさんばかりの声で言ったので、それまで黙って私たちの会話に聞き入っていたご婦人達 が一斉に私の方を見ると、ざわざわと囁き始めたのです。

四人組の男性は早速若者を捕まえると何やら尋ねていて、時々私の方を見てにやりとします。

きっと私がTGだということを話しているのに違いありません。一人のご婦人が会話に加わり、瞬く間にご婦人達全員に伝わったようで、皆さん私の方を見ながら、「ふーん」と頷いておられるのです。

秘密を知られてしまった私は恥ずかしくて、俯いてコンシェルジェの方を向きますが、皆さんの視線がスリットを掻き分けるようにお尻に、そして太腿に突き刺さります。

「お待たせしました、次の方?」

顔を上げると男女のカップルは未だ粘っていますが、その横でカウンターの向こうから微笑みかけているのは若女将です。

私に気付いた若女将は、「先程は失礼致しました」と頭を下げ、私の浴衣姿をチラッと見て、驚いたような表情を一瞬顔に浮かべましたが、さすがにそこはプロです、「 そういう着こなし方もあるのですね。素敵ですわ」とにこやかに言われるのです。

「ありがとう」とお礼を言いながら、後ろは決して見ないでねと祈り、「この周辺の地図を戴けますか?」と尋ねます。

若女将は満足そうに頷くと、カウンターの上に積んであった地図を一つ取って拡げると、ここがお客様が泊まっておられる『K』、そしてこの辺りにお店が並んでいて云々と美しい顔に負けない美しい声で説明してくれるのです。私は うっとりと聞き惚れるうちに、次第にカウンターに寄りかかるように若女将の顔 と指先を交互に見つめていましたが、後ろのスリットの事にハッと気が着いて体を真っ直ぐに起こします。きっとスリットが開いてお尻を晒していたに違いありません。

右手を後ろに回してスリットを確認します。もう大丈夫。そして再び若女将の顔をじっと見つめます。説明を終えた若女将が顔を上げると私と目が合ってしまい、若女将はポッと顔を赤らめるのです。

まあ、可愛い方。

「どうもありがとう。よく分かりましたわ」

私は地図を貰うとお礼を言ってコンシェルジェを 去ろうとするのですが、若女将が微笑みながらじっと見ているので、後姿を見せることができず、その場でもじもじしてしまいます。

「他に何か?」

若女将がニコリと微笑みます。

「いえ、どうもありがとう」

そう言うと私は思い切って振り返り、若女将に後姿を晒しました。

「まぁっ」と若女将が小さな驚きの声を発するのが聞こえましたが、今更振り向くこともできず、私はなるべく小さな歩幅で、スリットが開かないようにエスカレータへと向かいます。

まだご婦人たちが何人か、それに男性四人組はチェックインの列で待っておられ、玄関ロビーからエスカレータに向かう私の後姿を眺めておられます。

エスカレータで中二階のお土産コーナーに戻ると先程チェックインしたばかりのご婦人たちが4、5人 、ロビーに面して置かれた二つの低いテーブルに上品に並べられた有馬温泉の名物を眺めておられます。

「遅かったわね」

お土産コーナーの一番奥におられた静子夫人が私に気付いて手を振ると、ご婦人達が一斉に私の方を振り向き、そして次に静子夫人を見て、まあ、あんな綺麗な方がこの露出症 のオンナと、という怪訝な顔をします。私はご婦人たちの視線を浴びながら、3列に並んだ棚をやり過ごして静子夫人の隣に立ち、フロントで貰った地図を渡します。

「ありがとう、ドリー。フロントには沢山お客さんがいたでしょ?」

「ええ、まあ」

「また楽しんできたみたいね」

「いえ、そんな。でもさっきお風呂場で一緒だった学生さんに私がTGであることをばらされてしまいました」

「まあ」

「そこにおられるご婦人たちもきっともうご存知ですわ」

静子夫人は彼女達の方をチラッと見ると、「それは大変だったわね、ドリー」と言って肩を抱きしめて下さいました。

「さあ、ドリーさんも戻ったことだし、次の楽しいことをしましょうね」

いつのまにか星野夫人が私の後ろに立っておられます。

「さっきは見事にイッタわね、ドリーさん。ご褒美に次に何をするか教えてあげるわ」

「ああ、それは」

口ごもっていると、「聞きたいって言ったのはあなたでしょ、ドリー?」と静子夫人が微笑みながらスリットから手を差し込んで私のお尻を撫でまわします。

「ァア」

突然お尻を撫でられて思わず喘いでしまいます。バーではずっと前ばかり責められてい たうえに、浴衣を着付け直してもらってからは、前はしっかりと覆っている代りに、スリットの間からお尻を微妙に露出していたので、私のお尻はとても敏感になっていたのです。

もしかして星野夫人の着付けの目的はお尻を敏感にするため?ああ、それじゃ次の責めはきっとお尻なのですね。

お尻を撫でられて私は急速に高ぶってしまい、骨盤の奥がドクンドクンと脈打ってしまいます。ペニスの先が、そして太腿が濡れます。

私はもう既にハーハーと荒い息になりながら、「はい、聞きたいです。教えて下さい」と言って、またもやドクンと骨盤の奥を脈打たせたのです。


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